（続き）韓国の大学生から「卒業論文で日本のマンションにおけるペットクラブ事情」について質問がありました。回答と合わせて、若干手直ししたものを記載してきました。


参考まで、前回コラムで書いた
「私が管理組合の運営コンサルティングをしていたマンションでは、形骸化したペットクラブを廃止（解散）するかわりに、ペット飼育者のルールやマナーを強化し、違反者に対する理事会の権限も強化するルール改定を行った事例があります。」
の総会議案文を一部修正して貼り付けます。
マンション 犬 猫 飼育 問題
ーーー背景ーーー

■管理組合の概要：首都圏、400戸、築15年、ファミリータイプマンション
■背景：新築時からペットクラブがあり、50世帯近くが加入していたが、新築から年数を追うごとに活動が減っていった。一部の責任感あるメンバーが継続して運営していたが、ペットクラブで会合やイベントを行っても参加者は少なく形骸化していた。



ーーーここから当時の総会議案文ーーー

第●号議案　動物飼養細則の改定および「ペットクラブ」解散の件

［議決したい主な内容］
・新築分譲時より改定のなかった動物飼養細則について、現状に即した形へと改定すること。
・ペット飼育者で構成されている「ペットクラブ」を解散すること。


［全面的に見直す背景（課題と現状）］
ペット飼育に関するルールについては、新築時に分譲主によって設定されたルールである、動物飼養
細則が有効となっていますが、この細則と実際の運用について、次のような課題が生じています。

■細則上、ペット飼育者はペットの種類に限らず、全員が理事会の下部組織である「ペットクラブ」へ加入する義務がある一方で、犬や猫といった動物以外の生き物（例：金魚・カブトムシなどの昆虫）もペットの対象になっており、実態として登録（死亡届け含む）を徹底することは不可能であり、登録させるだけの合理的な理由も見いだせない。

■「ペットクラブ」の目的として定義される「会員相互の親睦」は、会へ強制的に加入させて図るものではないうえに、上述のように会へ登録される動物の範囲が広すぎて、親睦を図ることは現実的でない。そもそも、ペット飼育者間の親睦は、管理組合が団体を作り強制加入させて図らせるより、飼育者同士が自然に、かつサークルのような自発性をもって構成されるべきものであると考えられる。

■ペットクラブは細則上、理事会の下部組織でありながら、実態として理事会と具体的かつ組織的に連携して活動したことがなく、ペット飼育者が起こしたトラブルやクレームに対する対処などの業務は、基本的に理事会が管理会社からのサポートを受けながら実施している。
なお、ペットを「家族」として室内で大切に可愛がることが我が国の一般的な飼育の姿であるなかで、そもそもペットは飼育者各自が自己の負担と責任で飼育すべきであり、理事会がペット飼育者相互を縛りつけるような団体を作り、連帯責任を負わせることは馴染まないと考えられる。

なお、これらの課題があるものの、これまでにおいてペット飼育に関する運用に大きな問題はなく、トラブルが頻発するようなこともありませんでした。また、今後のペット飼育に関しての対応はこれまで通り、管理会社のサポート受けながら理事会の範囲でできるものと考えます。

［決議内容�　Ш拌Г硫�定］※詳細は動物飼養細則の比較表をご参照下さい。
（中略）

［決議内容�◆Д撻奪肇�ラブの解散］
細則第〇条の全文削除により、ペットクラブは解散となります。あわせて、ペットクラブ会則も廃止となります。

（中略）

※最後に、本議案の上程において、ペットクラブの皆様には、会員へのアンケート取りまとめや理事会への課題提起、具体的な改定案の作成について、多大なるご尽力をいただきました。
これまでの皆様のご協力に感謝し、深く御礼申し上げます。

ーーー総会議案文ここまでーーー

（終わり）


深山 州（みやま しゅう）
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