4月7日に安倍首相が「コロナ禍に伴う緊急事態宣言」を出した日の昼、僕は当社(クローバーコミュニティ)の経営者として、下の掲示物を作り、共同代表・顧問と内容確認のうえ、フロント担当者へ貼り出しを指示。電車移動で感染リスクがある遠隔地のマンションには僕がカーシェアを借りて夜通しで貼りに行った。
広報(コロナ禍)
■最初に悩んで決めた「管理会社としての基本姿勢」

この掲示物(やホームページへの広報)を作ったときは、とにかく「悩んで、悩んで、悩んだ」。
頭をフル回転させ、気持ち悪くなるくらいあれこれ想定して、そして管理会社としてのスタンス、僕自身のスタンス、共同代表である松原だったらどう考えるかな、、、全部混ぜて、整理して、作った。

一番最初に悩んだのは「どんな考え方・姿勢に基づいて、スクランブル対応を決めるか」。
実は、ここは割と早く結論がでた。
  1. 契約先マンション管理組合における『設備やインフラの維持』は大前提とする。
    👉最低限、皆さんが生活できる環境は絶対に切らさないようにするぞ、と。

  2. 居住者、管理組合の協力業者(当社は中間マージンを取らないため、消防設備や排水管清掃・エレベーター保守などの業者は管理組合と直接契約。)、そして当社スタッフ(フロント担当者や管理員・清掃員など)の安全を最優先とする。
    👉マンションに関わる全員の安全・安心を最優先にするぞ、と。

  3. 直接的・間接的を問わず日本政府、行政、医療機関等へ最大限の協力を行う。
    👉僕のfacebookにも書いたけど、日本国の経営者である安倍総理(閣僚)が決断したことは、その中身や政党など脇において、まずはリスペクトして協力しよう、と。スタッフに通勤で電車を使わせることすら、極力なくしていこうと。

■これも悩んだ「シンプルに、かつ主体的に」

これでも文字は多くて納得いってないけれど、時間もない中だったこともあって、最低限として次の記載をまとめた。
  • 対応期間を明記(いつまで?をはっきりと)
  • イレギュラー対応事項を「大きく箇条書きに」
  • 管理員や清掃員の派遣を自粛する可能性を明記(居住者に直接ゴミ出して欲しいことも明記)
  • 最善を尽くす旨の明記
  • (一番右下)理事長(会)と共有している旨の明記

■一番悩んだ「管理員と清掃員の派遣をどうする?」

上述の「赤字部分」つまり「現場スタッフの派遣を行う?行わない?」が、最も悩んだ。
そりゃそうだ。マンション住民が管理会社に求めている「当たり前」が『管理員や清掃員』特に『ゴミ出しを含めた日常の清掃』だからだ。

首都圏では、居住者は自分のゴミをマンション敷地内・建物内のゴミ置き場に『置き』、そこから清掃員や管理員が『ゴミ収集車が引き取ってくれる場所』つまり公道であったり公道との境界近くの敷地へ『移動』させる必要がある。

そして、袋の中で分別が出来ていないゴミはゴミ収集車が引き取ってくれないため、清掃員や管理員がゴミ袋を開けて『仕分け』しなければならない。

さらには、ゴミ収集後の置き場を清潔に保つため『置き場の清掃』をする必要がある。特に燃えるゴミ(生ゴミ)回収の後は水洗いがしたい。

これらの作業を、当社が採用した清掃員や管理員が日々行ってくれていて『感謝』しかないのだが、マンション居住者の中には『委託料を払ってるんだから、やって当たり前』と言う方もいるであろう。このご意見もごもっともだ。


で、この事態だ。派遣をどうする?


■最後は『基本姿勢の堅持』と『一貫性ある考え方』

たぶん、僕の頭の中はこんな感じだった。

  • 居住者の生活は当然守らなければならない。
  • スタッフの安全も大切。そこには居住者との優劣はない。
  • フロント担当者や事務方にはリモートワーク(在宅勤務)を推し進めて置きながら、現場の管理員や清掃員に『リスクを犯して現場へ行って欲しい』はアンフェアで考えられない。電車やバス通勤のスタッフは当然のこと、自転車や歩きで出勤のスタッフであっても、マンションの現場で感染するかもしれない。そしてスタッフには感染したら致死率が上がる高齢の方も多い。なにより精神的な不安を抱えながら良い仕事ができるわけがない。
  • 一方で、管理員や清掃員には『生活』がある。スタッフは時給で仕事をお願いしている。会社が一律に『出勤禁止を強制』することにより、感染リスク以上に給与が受け取れず生活そのものが苦しくなるスタッフへの配慮も必要。
  • 現場が大好きで、居住者が大好きで、仕事が大好きで『こういうときこそお客様に貢献したい』という管理員や清掃員の気持ちにも寄り添いたい(リスクを最小化させつつ出勤を後押しすることもアリではないか。)
  • こういう非常事態ゆえ、管理組合(居住者)はきっと理解を示してくれるはずだ。(希望でしかないが)理解を得るために説明するのは僕の仕事だ。

これらを書き出しながら、最終的に次の通り決めた。
  • 現場へ管理員や清掃員を派遣するかどうかは、個々の管理員や清掃員の意思(自粛したいか出勤したいか)に委ねる。また、出勤希望の場合は時差出勤を認める。
  • 「自粛したい・出勤したい」理由は一切問わない。(問わないことが本人の尊厳を守り、意思決定してもらう際にプレッシャーを与えなくて済む)
  • 管理員や清掃員が「自粛」を選択した場合、ゴミ置き場を閉鎖し、居住者にゴミ出し(ゴミ収集車が引き取ってくれる場所まで)をお願いし、分別に一層の協力を要請を行う。そしてフロント担当者にも極力代行をさせない。
  • 管理員や清掃員が「自粛」した場合は、その分の委託料を減額する。

僕の中で一番腑に落ちたのは「出勤・自粛の判断を本人に委ねた」こと。そして判断してもらうにあたり、会社から管理員・清掃員に対して、明示的・暗示的に「出勤して欲しい」とは絶対に言わないこと。


■「コロナ禍の先」を見据えての判断だ

管理員や清掃員は、マンション管理の基礎をなす重要な業務を助けれくれるパートナーだし、なにより失いたくない大切な仲間であり、同志だ。だから少しでもリスクあることや心理不安があることはさせたくない。

また、コロナ禍はいつか必ず終わる。コロナが終息する前に、居住者からの「派遣して欲しい」という依頼や要求、「派遣してくれない管理会社ってどうなの?」みたいな空気、オーラに心が揺らいで阿ってしまい、スタッフに出勤を強要したら、スタッフの会社に対する信頼が揺らいでしまう。安心して働けないよね。

コロナ禍の「先」を見据えたときに、やっぱりスタッフに「安心して働ける会社」だと思ってもらいたい。管理組合との関係が悪くなっても、わかって頂けるように最善を尽くすしかない。
そして、お客様と一緒にコロナ禍を乗り越えた先に、もっと強固な関係ができるのではないか?
と信じている。

それでもわかってもらえないお客様なら、最悪、契約終了も辞さない覚悟を持とう。


■お客様と仲間と橋下徹さんに感謝

本当にありがたいことに、お客様(管理組合の理事長や理事会の皆さん)からはご理解いただき、むしろ「(管理員・清掃員の)◯◯さんにはいつも本当によくやってもらっている。◯◯さんに通勤させたら危ないから、私達でゴミ出しなど協力しましょう」と言ってくださる方ばかりだった。

なかには管理員や清掃員にマスクや消毒液をおすそ分けしてくれたり、わざわざスーパーへ並んで買ってきてくれるお客様も。涙が出たよ。


そして、管理員や清掃員は全員「出勤する」と判断された。社としては決して強要をしていないが、皆さん出勤を継続してくれた。

当社はまだまだ受託マンションが20棟と小さな会社で、かつ僕自身の不徳の致すところ、今回の事態を想定した補給物資の用意が少ない。

マスク・消毒液・うがい薬・手袋をなんとかかき集めて、出勤してくれたすべての管理員や清掃員へ、フロント担当者と僕とで手分けして配りに行った。本人とお客様の双方が感染リスクを少しでも最小化できるよう、これからも物資補給は行っていく。
太平洋戦争で日本が負けた理由の一つ「補給を絶たれたことで最前線の兵隊が無駄死にした」を思い出して、先祖の教訓を大切に。(ちょっと例えは古いね)


1ヶ月後に政府がもっと厳しい判断をするかもしれないが、とりあえず当面の間は、「結果的に」これまでと変わらず現場が動いてくれていることに、大きな感謝。


最後に、上記のように整理し、リスクを犯してでも一貫した考え方に至り貫ける事ができるのは、橋下徹さんの影響が大きい。
元大阪府知事・大阪市長時代に彼が出ていたYouTubeの動画を見て「凄いわこの人」と圧倒され、何百回も繰り返し視聴した。こういう「リスクを取ってでも信念を貫ける」「良いことばかりでなくネガティブなことも言える」経営者になりたいって憧れたし、いまは週1で届く有料メルマガで考え方や整理の仕方を学ぶことができている。まだまだ僕のレベルは低いけどね汗

メルマガへのリンクは下に貼っておく。これは経営者にもそうだし、別に経営するメルすみごこち事務所に所属するマンション管理士にも超おすすめしている。コンサルとして論理思考を学ぶヒントになるから。


、、、ということで、上述の掲示物の作成に至るプロセスと心のありようを全部書いたつもりだ。
このコラムを書くうちに、一層気持ちが強くなった。


※オススメ:橋下徹の「問題解決の授業」はこちら

深山 州(みやま しゅう)
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