私:理事長が『12年目に大規模修繕工事をやる』と考えたのは、今の管理会社から見積書が出されて、理由を聞いたら「長期修繕計画上『12年目』に予定」と提案されたのがきっかけ、と言っていましたよね。

理事長:はい。あと管理会社から、工事の見積書が出てくる前に、建物の状況を調査した報告書が提供されて、建物にヒビやサビがついている写真が載ってたので、確かに傷んできているのかな、と思いました。
、、、これが報告書です。

私:、、、なるほど。写真付きの報告書を見せられると「工事の時期かな」と思ってしまいますよね。
大規模修繕工事の時期
私:で、おさらいになりますが、先程も言ったように、長期修繕計画はあくまで「修繕積立金が将来足りるかどうかを知るためのマネープラン」であること考慮すると、必ずしも「工事の時期は劣化次第であって、『12年目の計画ありき』ではない」ことはわかりますよね。

理事長:深山さんの話を聞いて理解できました。


私:では次に、管理会社から提示された「建物調査の報告書」の結果をどう考えるか、、、ですね。
この建物の調査報告書が、もし「真実を反映していなかったら」どうしますか?

理事長:ええっ!偽造されているということですか?

私:いえいえ、偽造もあるかもしれませんが(笑)そこまでいかなくても、例えば劣化や損傷の激しいところばかりをピックアップしてして写真撮影して、報告書に添付されたら、「うわ〜建物全体の状態が悪いんだ、、、」って信じてしまいませんか?

理事長:確かに。

私:ほら、ここの(報告書)、、、屋上の写真。理事長は実際に屋上に登って確認しました?

理事長:いえ、見てません。階段が無いし、高所恐怖症なので、、

私:私も高所恐怖症です(笑)で、屋上全体が、この写真のように劣化がひどいと思います?

理事長:劣化は一部かもしれないと?

私:それは私も現地を見ていませんので、はっきりとは言えません。だからこそ、ちゃんと現地を見ないと、本当に全体が劣化しているのか、一部だけなのか、、、つまり、全部を大規模修繕しなければならないのか、劣化の酷いところだけを部分的に補修すれば、その他の場所の修繕はもっと先延ばしできるかもしれませんよね。

理事長:なるほど、確かに。

私:大規模修繕工事は先延ばしした分だけ、皆さんの修繕積立金を支出する時期も先延ばしできますから、実質的なコスト削減になります。

理事長:そうですね。なるほど。気づきませんでした。


私:管理会社って、「長期修繕計画に計画された時期」に「劣化の度合いにかかわらず」「全部まとめての大規模修繕工事」を提案してくるところがほとんどなんです。

理事長:では、今の管理会社から上がってきた報告や提案を鵜呑みにせず、自分たちで建物の劣化状況をちゃんと確認しなければ、無駄遣いの工事になってしまうってことですね。

私:はい、そのとおりです!いちど、当社の建築士に現地見させますね。


理事長:ありがとうございます!
段々と理解が深まってきました。腹落ちしました。

ところで、、、もう一つ質問させてください。なぜ管理会社は、計画のとおりに工事を提案してくるのですか?


深山 州(みやま しゅう)
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